ゆれる

昨日やっと「ゆれる」観ました。タイトルがいいですね。内容にぴったり。静かで繊細でそれでいて重い映画でした。京都シネマは今週で終わりだというのに、立ち見まで出る盛況ぶりでした。
兄と弟の心の葛藤、揺らぎ、愛憎が見事に表現されていて、途中から事故の真相はどちらでもいいというか、あまり重要でなくなってきたほど。それよりも事故が起こってから後半の、兄弟の確執や言い争いの場面を見ながら、兄弟の関係ってしっかりしているように見えて、ほんと吊り橋みたいなぐらぐらした土台の上に、絶妙なバランスで成り立ってるものなのかなあ、などと思ったりしました(どこかで足を踏み外したら、あっというまにひっくりかえってしまうような脆いものなのか?とか、兄弟だからこそなのかなとか)。

見終わった後は、自分の中でよくわからなというか、上手く繋がらない箇所もあって、そのことを観た後に言い合ったりしても、その時点ではえーそういうことかなあ?とか納得がいかなかったり、少しして落ち着いて考えたら、そういうことかもしれないと思ったり、私まで揺らいでました。でもそういう映画なんかなあとも思う。人それぞれで見方や感じ方が違うけど、でも確実に心に何かを残すような映画というか。

役者さんでは香川照之がダントツでした。凄みさえ感じる演技で、どのシーンも表情が素晴らしかったです。ラストの笑顔にはやられました。キム兄の検察官もふてぶてしくて適役だったし、オダギリジョーが最後に泣く場面もぐっときました(いまさら泣いても遅いよとも思ったけれど)。主題のテーマはわりと明確なのに、捉え方が様々になる映画は好きなので観て良かったです。